もう5年ほど前になりますが、横浜から京都まで長距離夜行バスに初めて乗って、ひとりで旅したことがあります。インターネットで予約をして、チケットレスでの乗車でしたし、夜出発ということで乗車する場所に行くにも少し迷ったりして、まず出発前からドキドキしたのを記憶しています。バス自体は最新の設備が整っていて、座席は3列配置。私の席はその真ん中の列の運転席から2列目ほどの場所でした。

乗り込む前に軽い食事と飲み物を買って荷物を車体脇のコンパートメントに預け、座席に座って何とか落ち着けるように自分の空間を作る努力をしました。その日の他の乗客には、団体の方々がいてなんだか騒がしくなりそうな予感がしていたので、食事を済ませたら早めに寝てしまおうと思っていました。座席はもちろんゆったりと広いスペース、というわけにはいきませんでしたが、リクライニングが出来て寝てしまえばそんなに座り心地が悪そうでもありませんでした。

バスが動き出して、注意事項などが説明されると、乗客それぞれが何か食べたり飲んだり、連れがある人は談笑したりしていました。都会を離れ高速道路に入って、周りが暗くて何も見るべきものがないような状態になると、それまでは、賑やかに盛り上がっていた団体客たちも静かになり、だんだんと車内が睡眠モードになってきました。あかりが落とされて、窓のカーテンも閉めてこれから6時間ほど、京都までの長い間、バス全体がホテルになります。

私も少し座席の背もたれを倒して、荷物をまとめてコンパクトにしてから、上着で防寒し眠る体制に入りました。運転手にこれから数時間の安全運転をお願いして、少しうとうとしながら眠れずにいましたが、割と早くに眠ってしまったようでした。気が付いてみると、あたりが薄明るくなってきており、早朝の静けさの中をバスが高速を走っていました。

夜行バスですから、あまり大げさなアナウンスもなく、静かに眠らせてくれていたようで、とてもありがたいと思いました。降車区間に入ると、バスが停留所に停車するたびに、数名ずつが降りていきました。乗り合わせた最初の時には、まったくの見知らぬ人であった人達が、特に何も会話を交わしていないにもかかわらず、バスを降りることにはなんだか知人になったような、旅の同士になったような、そんな不思議な感覚になります。

それぞれがそれぞれの目的地について、何となく目で会釈をして別れ、早朝でまだ町中が眠っているような中に分かれて歩いていきます。6時間ほどの呉越同舟、また夜行バスで旅をしてみたくなりました。